▼ 高さ(音程)~抑揚とはなにか
日本語における抑揚とは主に話し声の文章内での音程の変化のことです。
話声に音程はないと思っている方もいるかも知れませんが、母音には常に音程が存在します。日本語において
「アクセント」
というのは「単語内での母音の音程変化」を意味します。英語のアクセント強弱も含みますが、日本語に強弱の要素は本来ありません。
そして
「イントネーション」
というのは文中においての音程の上がり下がりのことです。
一般的に、話すときに使う声の理想的な音域とは、
自身で出せる最低音程の3、4度上の音程~そのオクターブ上
とされています。使う音程幅が狭ければ平坦に、広ければダイナミックに聞こえます。
ニュースのアナウンサーや司会者の話し方に比べると、一般の人の話す言葉の音程差は非常に狭いです。多くの日本人は通常下限ギリギリの狭い範囲で話しています。音域を広げようにも低音部にはもう広がりません。より明瞭なイントネーションで話すためには、音域を拡大するためには高音部に向かって拡げていく必要があるわけです。
また、声優など様々なキャラクター声の出し方に対応するためには、さらに可能音域を拡げる必要があります。
▼ 音色(声質)
前述のとおり声の要素の一つとして音程を挙げましたが、音程だけで声のバリエーションを作るには無理があります。
音程を変えず、音量を変えず、発音も変えず、音色だけを変化させるスイッチがあります。そこを上手に使うことによって先ほどの『明るさのスイッチ』を無理なくコントロールできるようになります。
「ハリがある」「よく通る」「穏やかな」「響く」…
一般的にいわれる「声がいい」とはこの部分のことを指します。
声を大きくすると声がわれたりな感じになったりする人がいますが他の要素に影響を与えず大きさだけを変えられる、と言うことは非常に重要なことです。特に大きい声を喉に頼って出すと同じ声質が続かずすぐかれたりします。
▼ 滑舌を良くするには~発音(母音、子音の変化)
発音とは先の音色=声質とは別です。声帯で生まれ共鳴腔で増幅された音を実際意味のある「言葉」に変えるのは主に「口腔内」の器官の役割です。ここで舌、口唇などを使い母音を変化、あるいは子音を付加します。
舌や唇の動きが鈍い。あるいは母音の響きが明瞭でないことが「言葉がはっきりしない」ことの大きな原因であることが多いです。
一般的に「滑舌が悪い」と言われる場合、主にこの「発音」の部分を指します。
練習としてはまず発音を二種類の要素に分けてトレーニングします。
1)母音
2)子音
1)母音
母音は子音を伴わない音声、日本語の場合「あ、い、う、え、お」の5種類です。これらは主に舌の位置、唇が形で決まります。
発音がはっきりしない人は、まずこれらの5種類の違いを明確につけられていないことが多いのです。それぞれの特徴を明確にし、はっきりと変化させられるようにします。これだけでかなり「ハキハキとした」感じに聞こえます。
2)子音
一般的に「滑舌」というとここが問題になることが多いです。
子音とは 発音の際、呼吸が発音器官のある部分で妨げられてできる音 つまり日本語では「か、が、さ、ざ、た、だ、な、は、ぱ、ば、ま、ら、や、わ、ん」のことです。主に舌、声帯、唇で行われます。
滑舌の悪い人は、まず各子音がどこで作られているか知らないことが多いのです。それぞれの子音の特徴を明確にし、はっきりと変化させられるようにします。これだけでかなり「明瞭な」感じに聞こえます。
▼ スピード リズム
日本語はモーラの言語と言われ、そこには独特のルールが有ります。幾ら一つ一つの音素をはっきり明瞭に発音しようと思っても、自分の能力を超えたスピードで発話しては発音はおろそかになり、聞き取りづらくなります。
滑舌よく話すためにはまず、
一つ一つの音素を明瞭に
一つ一つの音素を等間隔で
ゆっくりと
発話することからはじめましょう。それが日本語の持つ基本的な構造に従った話し方なのです。
NHKの調査によると、90年代のアナウンサーの話す速度は1970年代から比べて130%~200% になっているということです。それだけ「速く話す」ことが要求されてきてはいますが、「速く話す」となると当然、「滑舌」が問題になってきます。
滑舌とはなめらかに舌、唇が正確にスムースに動くことによって発音が流暢になることです。しかし、実は発音がはっきり聞こえるためには「発音」の練習だけをしていてはだめで、その土台となる「発声」がしっかりしないと本当の意味での改善はされません。
スクールでのカリキュラム
「印象を決定する要素」を幾つかのファクターに分けて考えその一つ一つを検証していきます。
ナレーター、M.C.、声優、俳優の他、ビジネスでのプレゼンテーション等 様々な分野における「話す」為のボイス・トレーニング